5月7日(日)の夜、村上春樹「風の歌を聴け」を読了。
この作品のことは
はるか昔、書店で立ち読みして出だしの2行で嫌悪した小説だと思い込んでいたが、
思い違いだった。
不快感はなかった。
ありきたりの感想だが、爽やかでせつない雰囲気の出来事が綴られている。
向井敏が、日本の小説ではないような、と評していたその文体も
もちろん新しかったのだろうが、
同じく新しかったのは、この小説の仕組みだろうか。
日記的なストーリーをサンドイッチするように、
頭とおしりに自己紹介的なモノローグで、架空の小説家や、自己の文学観が語られている。
この、微妙にメタでフィクションな感じが、
あいだにはさまれたストーリー部分にも
ホントのようなウソのような、
あいまいな不思議感をかもしだしているようだ。
昨日引用した石原慎太郎のコメントのように
すぐに風化してしまうような表現はあまり見当たらなかった。
1979年の作品。
「村上春樹と芥川賞」というページを見つけたので付けておく。
投稿者 vacant : 2006年05月12日 12:58 | トラックバック