夏至のころ。
夏至のころは、いい。
春宵もいいが、
夏至のころの、誰そ彼時は、いい。
日が失われていく時間帯を
意識するようになる。
人けのない歩道橋で
かたちがおぼろげになっていくブルーグレーの空気を
感じている。
ものの姿が失われていく時刻に
よく遭遇するようになる。
未明の空が
蒼く、白んでいくのが
記憶にのこったりするのも、
たぶん夏至のころだ。
夜の早い時間なのか
夕方の終わりなのか
よくわからない白いシーツの色が
記憶にのこったりするのも、
たぶん夏至のころのような
気がしてきた。
夜の早い時間なのか、
窓の外、遠くを車がしゃあしゃあと音を立てて流れていく。
物事の境界線があいまいになる
夏至過ぎて。