駅のトイレから出ると(つづき)、
同じ電車に乗ってきた人々の姿はもうなく、
切符を回収する駅員すらいなくなった改札を抜ける。
近代的な駅。
西側の出口には、高い天井から、巨大な「AtoZ」展の広告幕が下がっている。
それをケータイで撮影している女性がひとり。
バスターミナルに出る。
クーラーのような風が吹く。
行き方の表示なんて、どこにもありゃしない。
29日、土曜日、初日の13時過ぎ、弘前。
閑散とした街。
しかし、私はこの町がきらいじゃない。
むしろ好きだ。
たとえば、高松のような、往時の面影を失った中年のホステスのような、哀しい街とは違って
この町は、
和服の似合う、小さなおばあさん。どことなく上品で、涼しげな顔。
タクシーで会場へ向かう。
煉瓦色の、見憶えのある建物が見えてきた。
真っ白なアルファベットが並んでいる。
若草色の芝生。クーラーのような風が吹いている。
吉井酒造煉瓦倉庫の前には、椅子代わりの、プラスチックのビールケースが並んでいる。
そこにぱらぱらと人が、思い思い座ってる。
閑散として、クーラーのような風が吹いている。
初日、弘前。
投稿者 vacant : 2006年08月04日 21:52 | トラックバック