ミッシェル・セールは、<内部>を皮膚という表層の効果としてとらえたひとだ。皮膚と皮膚が接触するところに<魂>が生まれると考えた。唇を噛みしめる、額に手を当てる、手を合わせる、括約筋を締める、するとそこに<魂>が生まれる、と。だから、他人との皮膚の接触も「魂のパスゲーム」という意味をもつことになる。そういう<魂>をさらしたゲームのなかで。ひとはじぶんの存在に触れる。(後略)
(『ことばの顔』鷲田清一著 中央公論新社刊 より)
注釈によると、
セールは、1930年生まれのフランスの哲学者。『五感』(法政大学出版局)は85年の作で、副題は「混合体の哲学」。
とのこと。