MOBILE ART IN TOKYO -CHANEL CONTEMPORARY ART CONTAINER by ZAHA HADID展
2008年05月31日 ~ 2008年07月04日
国立代々木競技場 オリンピックプラザ特設会場
入場無料
www.chanel-mobileart.com/
■ココ・シャネルの脳内クルーズ
6月7日土曜日、
もうチケット無いのは知ってたけれど
代々木公園のHASHIYAでお昼を食べて公園を散歩して日も沈んだあと
会場入口に寄ってみたら、
「並べばキャンセル待ちで30分以内には入れますよ」って
慇懃でさわやかな男性スタッフに言われた。
なんだ、ラッキー。
このイベントのことは、たまたま知人から教えてもらうまで知らなかった。
前宣伝とか、していたんだろうか。
ひごろ雑誌もテレビもあまり見ないので仕方ないかも知れないけど。
(その後、ブルータスか何かの表紙を飾ってた。)
銀色の扁平なアンモナイトのようなかたちの会場に入ると、
首からはMP3を、
耳には耳掛けヘッドホンを装着するよう、慇懃でさわやかな女性スタッフの指示をうける。
MP3から聞こえてくる『さあ、立ち上がってください』の声にしたがって
一人ひとりばらばらに、時間差でスタートしていく。
なんだか、ディズニーランドのジャングルクルーズがスタートしたような心地。
ここから先は、スタッフの案内も無く
耳からの指示だけを頼りに会場をめぐっていく。
MP3を使ったこの仕掛けは、
単純だけど、面白いアイデア。
美術館とテーマパークの融合。
昨今の、「なんかわけわかんないもの見せてくれるテーマパーク」として機能しつつある現代アート展覧会に、
とってもマッチしたアイデア。
前回の横浜トリエンナーレとかでも活かせたアイデアかも。
このような、
「展覧会⇒テーマパーク化」のアイデアは、これからもいろいろ出てきそうな予感する。
※いまネットを見たら、このアイデアは
ステファン・クラスニャンスキ(Stephan Crasneanscki)というアーティストの有名なアイデアなのだとか。
寡聞にして不勉強也。
今回のこの展覧会は、
仕立てとしては、
シャネルというクリエイティブの発想の源を探検していく
「脳内ツアー」といった趣きだった。
世界を巡回する特設会場の外観も、なんだか銀色の脳ミソみたいだったし。
(だれかの脳に入るなんて、マルコヴィッチの穴みたいだ。)
耳元でささやいていた老婦人の声は
「オノ・ヨーコじゃない?」と、帰りに連れが教えてくれた。
参加アーティストは・・・、
「ニッポンの満員電車」からはるかソフィスティケイト(≒抽象化)された地平までやってきた
田端の妹
(「デビューアルバムや単行本第一巻を思い出す感慨」に近い感情をふと抱く・・・)
をはじめ、
多彩な顔ぶれ。
ダニエル・ビュレンって、第2回横浜にもいましたね。
ラスト近くにあった「事情により参加できない」というアーティストのことも気になった。
(代わりに3枚の絵はがきを受け取る。)
ギャラリー小柳さん、あれは何だったのでしょうか。
というわけで、
これだけの展覧会が、入場無料・・・。
しかも世界7都市をパビリオンごと巡回する。
(それでも入場無料・・・。)
シャネルの並々ならぬ「脱・陳腐化」の心意気が感じられる
すさまじいイベントだと思いました。
会場を出て、
とっぷり日の暮れた表参道を歩く。
ひしめきあうように居並ぶメガ・ブランドの店舗のなかで
今日は、シャネルというブランドが
いちばんクールに見えた。
広告は成功した。