2010年12月10日

12月

午後5時。

江ノ島の残照。

見ている人は誰もいない。

淡い群青の空。

炎の色が、

真っ黒な島影を縁取っている。

島の灯台の鉄骨一本一本まで

島の稜線の木々の枝一本一本まで

くっきりと。

絵本のなかの影絵のように。


澄んだ宵空、

島影の上に

細い月。

むこうには

半島の灯火が、星のようにまたたいている。

ごく遠くまで。


島の集落の灯も、

どこか遠い時代のもののように

ぼんやりと

冬の澄んだ空気ににじんで

漁火のように

潤んだ眼のように

囁く森のように

共鳴する音のように

発光している。

投稿者 vacant : 2010年12月10日 01:48 | トラックバック
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