2010年12月26日(日)読売新聞「人生案内」欄 より
回答:増田明美(スポーツ解説者)
自分のことをよく見つめていらっしゃる相談文から、あなたは「取りあえず」という曖昧なことが嫌いな性格なのだなと感じました。何でも完璧にやろうとする真面目な方で優秀なのです。だから無能だと思われることが怖く、恥をかきたくない。その気持ちがあなたに何かに挑戦させることを止めてしまっているようです。
きっと親御さんは優しい方で、静かにあなたを見守っているのでしょう。自分でも気づいているように、殻を破らなければいけませんね。そのためには失敗を恐れない心のトレーニングが大切です。人は自分のことで精いっぱい。他人の失敗には興味がありませんよ。成功、失敗よりも、努力を評価するものです。
ボランティアでも小さな仕事でも、何でもいいので人に喜ばれることをしてみましょう。そうすると心にプラスのパワーが生まれますから、考え方が前向きになります。そしてたとえ恥をかいてもそれは成長のもと。
若い頃私はラジオ番組で「結納」を「ケツノウ」と読み大笑いされ、すごく落ち込みました。でも、その時新聞の川柳欄で出会った「生きている証拠に今日も恥をかき」に励まされ、今も失敗する度にこの言葉を思い出します。間もなく新年。ぴょんっと一歩を。