「現代の若者たちは、どこにお金を使うのか。それは、『誰かに自慢するため』でも『みんなと同じものを持つため』ではなく、『自分自身がいかに快適になるか』が重要になる。つまり、『モノ中心』ではなく『自分の気持ち中心』に動いているのだ。『モノが欲しいから、お金が必要』なのではなく、『心の快適が欲しいから、お金が必要な場合もある』という新しい考え方は、『お金と引き換えにモノを手に入れること』ではないこともある。たとえば『ユニセフに毎月一定額を募金する』ことでも、若者たちは『心の快適』を手に入れることができるのだ。
若者たちの『お金の使い方』の特徴的な事例のひとつとして、『応援消費』という行動がある。例えば『ひとりでコツコツつくっている職人の革製品が好きで、今後もそのブランドに残ってほしいから定期的にそこの商品を買い続ける』『自分が好きな映画だから、再生機を持っていないのにブルーレイディスクを買う』など、手に入れる商品やサービスそのものへの欲求だけではなく、『作り手のポリシー』や『手に入れる(お金を払う)ことで起こる『(他者にとっての)良いこと』』などを加味した上でお金を払うのだ。つまり現代の若者たちは、商品やサービスの『その先』を見ながら財布を開いている。」
「『心を満たすため』にお金を使う若者たち」より
『広告』vol.383 2010年10月号 所収