「現代というのは言語情報をやりとりすることがあまりにもヒートアップしていて、たぶん人類の歴史上、もっとも言語が支配的になっている時代なんですね。」
「そして、言語情報は、現実とは関係のないヴァーチャルなものです。例えば、目の前にいない鈴木さんを思い浮かべることは、人間独自の機能です。それを行うとき、私たちは脳内で現実と切り離されたヴァーチャル世界を構成する、という非常に特殊な操作を実は行っていて、これはものすごく疲れることなんです。」
「誰でも風呂に入るときなどには身体感覚がより強まるので、言語の書きかえ作用がだいぶ鎮まって、思考も鎮まるでしょう。そういうときにリラックスするということを直感的に多くの人が知っていますよね。」
小池龍之介「わかるとはどういうことか」より
『広告』vol.385 2011年4月号 所収