古書店街、立喰そば、8時22分。
今朝は店主が不在らしく、たぶんその妻と思しき従業員のみ。
鰻の寝床を字面通りに具現化した店内は、既にそばを手繰っている客と、注文を告げようと厨房に向かう客が、立ち位置を換え換え、通路を譲り合うという半公共的空間を共有している。
そば、ください。
「はーい、そばね。何そば?」
きんぴらで。
「はい、お待たせー」
ってこれ、かき揚げじゃん。食ってから言うけど。
嗚呼、この儘喰い続ける哉。いやいや、きんぴらって言ったし。
これ、きんぴらって言わなかった?
「ああ、ごめんねー。天ぷらって聞こえたもんだから。はい」
おもむろに揚げ物ショーケースからきんぴら天を取り差し、器へと重ね入れる女性従業員。
え、あ、朝から揚げ物二丁も? いや、あの、そうですか。
後続の客と件の従業員。
「いらっしゃーい」
「ごぼ天そば」
「なにそば?」
「あー、きんぴら天そば」
「てんぷら?」
いやいや、それじゃ何の反省も無いぞ。
次から「ごぼう天」と告げようと思うが、その心中既に負け組。
投稿者 yoshimori : November 18, 2005 07:30 PM | トラックバック