December 28, 2005

債務者に朗報!ゼロから始める錬金術!

仙台藩下屋敷、昼下がりの公園、12時27分。

ベンチに座り、煙草を吸っている。
吐き出される煙に関心があるのか、特有の足取りで寄ってくる鳩。
君らは滅び行く種かね。

隣のベンチには、スーツが不意に汚れてしまったのだろうか、水をかけながら神経質そうにハンカチで擦り、日向に立って乾かそうとしているらしく、やや両手を開きながらぼんやりしている男性。
もうひとりいる連れの男性の発言には、東北寄りな訛りがみられ、ふたりは自社の社長に対しての不満を漏らしている。
「あいつ使えねえよ」
「使えませんねー」
「全然駄目だよ」
「駄目っすねー」
先輩の放つ愚痴にも似た発言を鸚鵡返しに繰り返すだけの後輩という行き場を失った展開に。

日も高いうちから、鳩を肴にワンカップをあおる老人たちの前を、息を止めながら通過して公園から出る。

隣接するビルの前にはスーツを来た男性と女性、赤いジャケットを着た老人。
え? 赤? 還暦仕様だろうか。

スーツを着た男は、路駐されたバンに荷物を積み込んでは降ろしている。
女、抱えた書類を眺めたり、腕時計を何度も見たりと人待ちしているような雰囲気。
バンのロゴを見る限り、男は施工会社から派遣されているようだ。

突如、老人の怒声が響く。
工期の件で揉めている様子。
推測でしかないが、ビルのオーナーである老人がテナント業者、もしくは施工業者に向かって、「今月中に工事が終わるなんて言っておいて話が違うじゃないか」とクレームをつけていると見る。

老人の荒げる声の大きさに、脳溢血という単語が浮かぶ。

数時間が経過、老人と男女のやり取りは劇的な展開を見せ始め、いつの間にか現れた年配の男性が老人を羽交い絞めにしている。
老人のはだける赤ジャケ、羽交い絞め男のずれる眼鏡。
傍にはアタッシェケースから書類を取り出す女と、老人の発言に合槌打つことも無くただ聞いているだけの男。

何時間もかかって何をしていたんだ、君ら。
あんなにも眼鏡がずれた新キャラを待ってたのか。

更に数時間、事態は収束したようで静かになる。
あ、その前に救急車のサイレンが聴こえたから、生物学的に解決(※)したかな。


※長期に渡る訴訟中、訴人もしくは被告が年々高齢化し、やがて他界した時点で閉廷するという釈然としない解決。

投稿者 yoshimori : December 28, 2005 12:46 PM | トラックバック
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