June 13, 2006

『ヒディング後』

昼下がりの公園、全てのベンチにはワンカップで酒盛りをする老人らがまるで席順でも決められているかのように定位置に着席している。

戯れに鳩めがけてさきいかを放っている様子。

「こいつら駄目ですね」
老い先短い老人なんだから許してやってよ。

「いや、鳩ですよ。野性の欠片も無いじゃないですか」
そういえば、この間見てたら、すごい勢いでチキンナゲットに群がってたよ。

「やばいっすね、同族ですよ」
人に頼りすぎて狩猟を忘れたんだな。

「こいつらこそニートですよ。働けっ!お前らっ!」
先生、荒れてますなあ。

「荒れたくもなりますよ、昨日の今日じゃ!」
まあまあ、後半最後の十分がねえ、って観てないけど。

「もういいですよ。・・・全然関係無いですけど、僕実は雀をダイヴィングキャッチしたことありますよ」
え? 何で? 喰う為?

「いや、何となく。たまに自分がニュータイプなんじゃないかって思う時あるじゃないですか」
いや、ないな。

「雀ダイヴィングキャッチがそれでしたね。あと、蚊も。まあぶっちゃけこいつら油断し過ぎなんですよ」

君の発言もかなり油断し過ぎだな。

(了)

投稿者 yoshimori : June 13, 2006 07:06 PM | トラックバック
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