脚に続いて腕の感覚が失われているのが分かる。 動かない脚と、感覚の無い腕。 見上げている首すら支え切れず後ろに落ちてしまいそうだ。
「黒いのは何?」 「何って・・・」
「あれ、あの黒いの」 「ああ、あれ、あれはキ・・・」
「キ・・・?」
具合の悪さよりも話を続きを迫る人間には教えない。 そう決めて倦怠感に身を任せた。
(了)