August 09, 2006

『487-14』 (第1回)

自販機から発せられるアルミ缶の落下音は通りによく響いた(気がした)。
中腰になって缶と小銭を同時に取り出す。

プルタブを引く指が乾燥しきっている。
よく見ると爪を切り過ぎているようだ。
道行く人に「開けてくれろ」とは言えない。

缶の側面に鋭利なものでも刺そうかとも思う。
が、あいにくそんな物騒なものは持ち合わせてはいない。

折り合いの付かないまま、缶ごと植え込みに放り投げる。

(續く)

投稿者 yoshimori : August 9, 2006 11:59 PM | トラックバック
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