過酷な労働条件ながら派遣された業種は、「IT」という矛盾。
「事務所が決めたヒエラルキーで最低ランクの階層があるわけですよ」
肉体労働とかそういう系?
「そうです。引越しとか、イベント会場の設営とか」
設営は厭な響きだな。あっさり怪我しそうだ。
「で、その中で分かりにくいのが、いわゆる仕分けって作業なんですよ」
中元、歳暮みたいな感じかな。
「それもそうなんですけど、それは軽いほうですね」
郵便局ぐらいしか思いつかない。
「まだ若造の頃、一度仕分けを頼まれたことがあって、その時足の爪が剥がれてるからって断ったんですが、『運ぶのは豆電球だから』って口説かれて引き受けたんですよ」
豆電球!
「現地に行ったら、いっきなりプラズマテレビが置いてあるわけですよ」
豆じゃねー。
「豆電球なんてどっこにも無いんですよ。あるのは冷蔵庫とかひとりじゃ無理系のばっかりで」
大型家電じゃんか。
「無理無理無理無理ってさんざん断ったんですけど、妥協して液晶テレビ運ばされてましたね、足引きずりながら」
よっぽど人いなかったんだろうな。
(了)
投稿者 yoshimori : October 2, 2006 11:59 PM | トラックバック