「いやー、真鴨が美味しい季節になりましたな。
わりと赤い部分が多くて、脂ギッシュですからね、駄目な方はたぶん駄目でしょうな。
長生きしたいご年配の方にはお奨め致しませんよ、ははは。
大振りの身が串一本じゃ支えきれなくて二本差しですわ、武士武士。
身は至って軟らかでねえ、冷めてもさほど硬くはなりませんが、お早めにお召し上がるのが美味しいですねえ。
あ、あと、葱もご一緒にいかがですかと」
じゃあそれひとつ、葱も。
「はい、鴨が葱背負ってきましたよー」
不慣れな中年女性従業員は至って無表情に、しかも言わされてる感ありありの顔で品を届けるのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : November 24, 2006 11:59 PM | トラックバック