両親に兄弟姉妹が存在する以上、その子らに絵を描いてやるという瞬間は誰しも共有する記憶だろう。
ひどく歳の離れた男児女児らから下の名を思うままに呼び捨てられ、見たこともない色のペンと端の折れ曲がった用紙を手渡される。
犬? ああ、あのわんと鳴く。 はい、犬。
どんな動物を描いても、「目つきが悪い」と指摘されるのは何故だろうか。
(了)