薄暗い階段を降りると、木製のドアの向こうには、目の下がひどく落ち窪んだ男。 既に何軒か回った後のようで、口調だけは既に三次会だ。
「兄貴がさー、年収2000万円なんだよねー」
どういう流れでそんな話になったは失念。 ちなみに彼と兄嫁は不仲という。
年の瀬だし家族仲良くして下さいよ、と茶を濁して去る。 それよりも自分の越年を憂う。
(了)