ひどく乾燥した室内でかれこれ二時間は放置されている。
体調が崩れてゆく様子が五分単位ではっきりと自覚できる。
隣席の同僚は厭な咳が止まらない様子。
しかも「今日は泊まりかも」という。
呼ばれて飛び出てここにいるはずなのだが、呼び出した人々は自分を空気のように扱う。
18時に交代要員が到着すると聴いて、微かな希望を持つ。
時間を追うごとに激しくなる同僚の咳は、数人に伝播したかのように室内に響く。
突然の睡魔に対抗しきれずに身を任せていると、交代要員が到着した様子。
時計を見ると、18時18分。
「俺は帰るけど君ら泊まり確定な」と言い捨て、逃げるようにビルから立ち去る。
いやー、なんでしょうね、この具合の悪さは。
喉が痛くて、ぼんやりが止まりません。
熱っぽくて寒気までする。
恋?
(了)