気が付けばもう月末だ。
諸事情により針と糸を持ち出して裁縫に心血を注ぐ。 裂けた布を縫い合わせるという単純な作業なのだが、不慣れか向いていないのか上手くできてる気配が微塵もない。
無我の境地で針を刺したり抜いたりしていると、何故か故・由利徹の顔が浮かぶ。
・・・2分後。
ああ、これは由利氏が老婆に扮して針仕事パントマイムをしているのを、同じく針仕事を記憶装置として思い出しているのかと納得。
厭な引出しを開けた気分。
(了)