先日、不意に思い立ち、長い間放置していた単車を動かそうと、不法に駐輪しているよその駐輪場へ向かう。
一回目、セルが回るので「楽勝じゃん?」と油断してうっかりアクセルから手を離したところ、その後は一切音沙汰無し。
渋谷はその名の通り谷底にあるので、自宅近辺より駅へと向かう坂を利用してエンジンを始動しようと、重力に身を任せ、傾斜を下り切ってみるも、エンジン内部は微動だにしない。
八割方諦めて、円山町への坂を上がり、バイクショップを目指すも、その日が休日であることに気付き、携帯から電話して営業中か確かめようとするも、立ち止まった前にあるレストランの従業員が不信げに見ているので、とりあえずその場を離れる。
200キロはある鉄のカタマリを、緩いとはいえ上り坂方面に、少ない筋力で押しているので体力は既に限界に近い。
走馬灯が見え始めた頃、井の頭線の駅前に向かう下り坂でセルが回り始める。
!
およそ四ヶ月振り、エンジンに火が入る。
おおう、今にも消えそうなアイドリング。
戦国の世より五百年間、先祖の墓前に供える蝋燭の火をを絶やさない宿命を背負った老婆のように、粛々とした気持ちでハンドルを握る。
このまま風になろうかとシートに跨るが、暖冬とはいえ薄着であることに気付いて、少しだけ走って止めにした。
結論:真冬に素手は無理。
(了)
投稿者 yoshimori : February 13, 2007 09:28 PMあ、動かした。
あ,動かされた.
Posted by: 麺類 : February 15, 2007 05:44 PMあ、働かされた。
Posted by: 穀物類 : February 15, 2007 09:33 PM