若いのをふたりばかり与えられ、馬車馬のように働かす。
缶コーヒー一本で懐柔したつもりが、奢らされただけという気がしないでもない管理職。
「何か楽器とかやってますか?」
全然。
「さっき僕ら話してたんですけど、実は僕ドラムやってて、彼がベースなんですよ」
ふーん、ギターがいないね。
「そうなんですよ。あー、バンドやりたいなあ」
俺を見るな。
「ギター弾いてくださいよ。弾きたくないですか?」
えー、そういうの20年前に挫折したからもういい。
「僕、教えますから」
何を?
「コードとかいろいろ。あ、あとステージングも」
弾けないのに、いきなり何を要求するんだ。
「どうしてもダメですか」
他を当たってくれ。
「・・・ぶっちゃけ、立ってるだけでもいいんですけど」
それは何だ、何の集まりだ。
エアギター以下だな、俺のポジション。
(了)
投稿者 yoshimori : February 15, 2007 10:26 PM