サドルの無い放置自転車を目撃する度に、チャリライダーだった頃を思い出す。
当時、心無い何者かによってサドルは奪い去られていた。
ひさびさ買い物にでも行こうかと、自転車整備に余念が無い。
とはいうものの、別の放置自転車を破壊してサドルをくすねて載せ換えたりとかそういうこと。
悪事に手を染め中、向かいの一軒家前には「部品が届いてねえ!」と電話に怒鳴っている、内装業者らしき中年男性が駐輪場の壁に背もたれている。
彼の立ち位置、ポジション的に自転車がかなり出しにくい。
「どうすんだよ、俺いま現場に来てんだよ。はいじゃねえよ、持って来いよ、今すぐ。あ? そうだよ、お前が来るんだよ。今何処にいるんだ、あ? 出先? 出先って何だよ」
話、長くなりそうね。
数十メートル向こうで、携帯電話を持ちながら何かに向かって頭を下げている若い男が見える。
出会わなきゃいけないふたりが出会えないのさー♪
(了)
投稿者 yoshimori : June 20, 2007 11:59 PM