突風と雷雨という日本ではないような天候の中、かつての千代田城、大手門が見えるホテルの大広間、お別れ会と銘打った会場に赴く。
全く日常ではない光景、ドーム型天井にクリスタル製シャンデリアが下がる。
おびただしい数の参加者と、ホテル従業員が入り乱れるが、混乱もなく会は粛々と始められる。
200人という主催者側の予想を大きく超え、おそらく1000人近い人数が集まったのではと思われた。
生前の彼の遺影が献花台前に。
花を手向けた後、献花という行為そのものが初めてであることに気付く。
喪服姿の元妻による挨拶と献杯に始まる。
最近夢によく彼が出てくるんですよ、という彼女、既に涙ぐんでいる様子。
すぐ壊れるという意味で、「彼を中国製と呼んでいた」と笑い、
かつてインドでヘロイン中毒になって帰ってきたという経歴を持つ彼だったが、亡くなる直前の入院中には、「モルヒネっていいぜぇ」と嬉しそうに言われたという。
ほんとにいい男でした、という彼女の言葉で会は終了。
外に出ると、雨は止んでいる。
午後に急変した天候は、彼の愛した東南アジア的だったと語る出演者の言葉を思い出す。
配布されたリーフレットを眺めていると、彼が上京後初めてバイトしていたという新宿三丁目の焼き鳥屋には去年偶然行ったことがあったと今更ながらに知り、思わず目頭が熱くなる。
(了)
投稿者 yoshimori : April 28, 2007 11:59 PM