駒沢通りからひとつ路地を入ると、不意にカレー臭、いや芳しきカレーの香りに出くわす。
たいへん美味しそうな香りに惹かれもするのだが、職場近辺で喰うまいと店先を素通りすることもしばしば。
通りの向こうから、年の頃なら4歳の女の子と若い母親が歩いてくる。
「あー、カレーの匂いがするー」
「ほんとだー」
「食べたーい!」
「じゃあ、今日の晩ご飯はカレーにしようか」
「うん! わーい、カレーだ、カレーだ、カレーだ!」
字面だけだと微笑ましい親子連れに見えるが、女の子の声が何処でそうなったのか、
上野アメ横の魚売りのおっさんそのものにしか聞こえない。
ハスキーを通り越してダミ声の幼児って。
(了)
投稿者 yoshimori : June 14, 2007 11:59 PM