夏だからなのかカラダが欲しているのか、やたらと鰻なきぶんに。
所用で丸の内を訪れた際など、うっかりふらふらと一品5千円という重役クラスな重箱に手が出そうになるも、一葉先生ひとり分となると思うところもあるので、腿に錐を突き刺す勢いで泣く泣く痛い足を引きずりながら立ち去る結果に。
いっそ嫌いになりたいと欠点をあげつらう。
「あんなぬるぬるのやつのどこがいいのだ」
とまれ鰻は焼いて然るべきであって、ぬるぬる成分残留のまま食したりはしないはずだ。
そういう調理法があるならあるで試したいとさえ思う。
いや、やはり焼きがよい。白焼きがよい。鮫肌でおろした山葵で喰いたい。
「まったくつかみどころのないやつだ」
これは落語か?
食への欲望を抑制する動機から、食材そのものへの擬似憎悪は逆効果である。
おおう、これは恋愛か、恋愛の概念なのか。
この夏、鰻に恋したい。
(了)
投稿者 yoshimori : July 30, 2007 11:59 PM