※内容についてがっつり述べています。
パリ、悪臭で満ち満ちた市場で産み落とされた男子は魚の内臓、腐敗した果実の中で産声をあげ生を得るも、孤児院では孤立し、革なめし職人に売られ、完璧な嗅覚を持ちながらコミュニケーション不全が故に自分好みな匂いの少女をうっかり絞殺し、皮の納品で訪れた香水調合師に雇われ精製法を学ぶも、鉄や猫の香りを閉じ込めようとして陰惨な結果を残し、調合師へ100種のレシピを伝えて解放、次なる地では動物性脂肪で女子をミイラパッケージして香料を抽出するという、どうしたって殺人を前提とした職人ぶりを発揮し、美人限定13本分原料ヒトなるパフュームが完成し全てを調合するも、身柄拘束され死刑判決が下り執行日に処刑台へと向かう途中、忍ばせた香水を纏うと人々は天使を見るような恍惚とした状態となり果ては750人の大乱交が始まり、混乱に乗じて脱出、何故か故郷で残る香水を全て身体に染み込ませて群がる人々によってたかって嬲られ、最後には骨ひとつ残らず食べられて終了。
全編、殺人者視点で語られるので、彼が官憲に追われるシチュエーションでは、志村後ろうしろ、とうっかり助け舟出した後、それも何だかなーという立ち位置に。
彼が庇護者(生母、孤児院経営者、革職人親方、香水調合師)の元を去る度に、去られた庇護者は彼を失った直後に全員悲惨な死に方を迎えるという、笑わせようとしてるんだか運命論なんだか判断のつかない展開となる。
視聴覚というメディアで嗅覚を扱う困難さを知る。
(了)
投稿者 yoshimori : July 29, 2007 11:59 PM