義盛記

『帰省、もうひとつの帰る場所』

母の実家を訪ねる。
玄関を開けた瞬間、慟哭にも似た鳴き声が響く。

先代の飼い犬が病死した後に迎えられたフレンチブルドッグ、カラダが大きいので人馴れし過ぎたじゃれ具合はもはや恐怖である。

きみはぶさいくかわいいな

叔父が甲子園の中継を眺めている。
地元代表高校は初戦で敗退しているので、見るべき対戦は何もない。

金魚が2匹

この水槽、藻もエアーも何にもないね。
「それね、もう何年もそんな状態でね、たまに水だけ替えてる」

上から眺めるのが正しい金魚鑑賞

これ、おなか膨らんでるのは何て種類？
「それ？ それは病気、もう何年もそのまま」

こういう品種じゃないのね。

しばしくつろいで、帰ろうと重い腰を上げる。
送りに出てくるフレンチブル。

おまえはかわいいけどぶさいくだ

また年末に。

（了）

投稿者 yoshimori : August 15, 2007 11:59 PM