「異論もあるだろうが、とりあえず頼まれてはくれないかな」
嫌です。
「とりあえずだからさ」
嫌です。
「どうしてもかね」
どうしてもです。
「うーん、如何ともしがたいな。理由を聴かせてくれないか」
嫌です。
「理由も言えないのかね」
言えません。
「何故だね」
嫌だからです。
「これでは堂々めぐりじゃないか。じゃあこうしよう、これは命令だ、やりたまえ」
命令とあれば仕方ありません、やりましょう。ただし、遺恨は残りますよ。それでもいいですか?
「む、遺恨か」
ええ、遺恨は残ります。私が嫌だと主張したのに聴き入れられなかったわけですから。
「むう、そう言われると頼みづらいな」
それではやめましょう。その方が明日からも遺恨なく仕事ができます。
「では誰がこの仕事を引き受けるんだね。君以外に誰もいないのだよ」
ご自分でおやりになればいいんです。
「わたしがかね」
ええ、部長ご自身が。
「わたしにできるだろうか」
部長の仕事はあれですか、自分にできない仕事を部下に押し付けることですか?
「違う」
では可能なはずですが。
「分かった、わたしがやろう」
よかった。じゃあ私はこれで。
「ああ、ご苦労さん」
翌日、部長は痛ましい姿で総務の女の子に発見される。
あの時、引き受けるべきだったのだろうかと今でも後悔している。
(了)
投稿者 yoshimori : October 1, 2007 11:59 PMやはりどこの会社に行っても見かける風景です閣下。
そのままのしてしまってください。
いっそのこと蝋人形にしちゃってくださいよ、閣下だし。
Posted by: hyde先生 : October 3, 2007 12:18 AMふはははは、お前も蝋人形にしてやる!