October 15, 2007

『惚気 or Die』

遠方からかつての後輩が出張で上京しているというので、幾人か集まる。
新宿、19時48分。

気が付けば既に23時過ぎ。
後輩は品川に帰ると山手線に乗り、我々は河岸を替え、飲み続けることに。

「この間さ」
何の話の続きですか?

「彼女の話」
あー、犯罪的に歳の離れたあの。

「そうなんだけど、その離れてる分ね、子供っつーか無邪気っつーか」
否定しないすね。

聴いてよ
あ、はい。

「ゲーセンに行ったわけ」
似合わないっすね。

「知ってるよ。あれ、ほら、あれ、何つーの、UFOキャッチャー?」
ありますね。

「その景品でこう動物の顔が付いたぬいぐるみっつーか、腹話術的なやつがあって」
パペットマペットですか?

「あー、まあそんな感じ。それを取ってってせがまれまして」
彼氏っぽいじゃないですか。

「そうね。でさー、幾ら使ったと思う?」
いやー、それを訊くってのは相当でしょ。

相当だよ! 会社行く前に家で詰めた麦茶を毎日持ち歩いているというのに」
・・・何かつらくなってきました。

「しかも、あれさ、手を入れるところくたっとしてるじゃん、くたっとさ。こう頭があって、カラダに手を入れるタイプの」
分かりますよ。超取りづらそう。

超取りづれえよ! でも頑張ったんだよ!
あー、いいはなしだなー。

つーか聴けよ! 俺はあのガラクタに6千円も突っ込んだんだよ!」
あー、はいはい、みんな見てるから、ここは抑えてくださーい。

4千円あたりから、彼女泣き出してさ」
えー? 泣くかー?

「最終的にゲットしたからよかったけど」
それにしても、それにしてもですよ。

「でもね、この写真見てよ。めっちゃいい顔で写ってるでしょ、ほら嬉しそうーに

って結局そういうはなしか。
でもあんたのその顔は、彼女自慢方向ではなくて、孫の写真を見せる好々爺でしかない。

(了)

投稿者 yoshimori : October 15, 2007 11:59 PM
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