昼の献立表を眺めた瞬間から丼物と心は決まっている。
食堂へ向かうと、いつになく混雑している様子。
丼物コーナーに並ぼうとすると、いつもの窓口ではないという。
ていうか、何だこの長蛇の列。
君らはあれか、カツ丼難民か。
そんなにもそんなにしてまでカツ丼が喰いたいのか。
親の遺言か。前世の因縁か。
どうしても食べたい理由を述べさせたところで、まともな答えなぞありはしないはずだ。
なあそうだろ、そこのメガネ。
どうせ尋ねたところで、「いや、昨日はそばだったし」ぐらいの曖昧な返事しか用意してないのだ。
愚かなやつらだ。
並ばされる不条理と、他の品を選ぶ屈辱感を秤にかけた結果、難民の列に加わる。
通常なら食を終えてる時間になってようやく丼を入手。
特に急ぐ理由すらないのに、凄い勢いで完食。
既にひと仕事を終えた気分になり、このまま帰ろうかなとも思いながら爪楊枝入れから爪楊枝を取り出し、くわえながら席を立つのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : October 25, 2007 11:59 PM