October 27, 2007

『虐待 or Die』

ひさびさびさに美容室へと足を運ぶ。
事前に予約しようとしたら、「直接お出で下さい」と一蹴され、混んでたらどうしてくれんのともやもやしながら向かうと、4人掛けソファーに4人座っている様子。
だから言ったじゃん。

とりあえず、小動物みたいな従業員に待ち時間を尋ねる。
「30分くらいですかね」との回答。
あら、予約しててもそんなもんじゃないかと納得。
しかし如何せん、座る場所が無い。
荷物を預け、同じビルにある喫茶店で30分過ごす間に、手持ち現金が全く無いことに気付き、件の美容室に電話し、カードが使えるか訊いてみる。

「現金のみのお取扱です」
そうですか。

エスカレータのベルト部を丹念に拭く老婆にATMの場所を尋ね、階下へと向かう。
キャッシュディスペンサーの前には同じ動作を繰り返し、
「暗証番号を入力してください」と機械から何度も突っ込みを受けている中年女性が。
「ごめねー」と謝ってるんだか何だか分からない発言を受けたまま、待たざるを得ない。
ようやく現金を手にし、待ち時間も過ぎたので美容室へ向かう。

「本日担当させて頂きます、タケダです。・・・宜しくお願いしまーす」
ああ、どうも。

「今日はどういった感じに?」
イメージ的にはこんな感じで。

「・・・あー、はい。分かりましたー。宜しくお願いしまーす」
しまーす。

この美容師、感じはとてもよいのだが、会話の最中に何か考えてる様な間があって、聴いてるのか聞いてないのか分からない瞬間がある。

手持ち無沙汰なので文庫本を読んでいる。

「本はよく読まれるんですかー?」
そうね、何もしてない時に活字がないとつらいね。

「あたしもー、最近読み始めたんですけどー、なかなか読み終わらなくてー」
どういう内容?

『“It”と呼ばれた子』っていうんですけどー、虐待系なんですよねー」
虐待って幼児虐待

「そうなんですよ、あ、あとですね、『囚われの少女ジェーン』ってのは読みました」
それも虐待っぽいね。

「あ、ほんとだー。別に虐待好きじゃないですよー」
そりゃそうだ。

全てを終え、帰りしな一冊の本を渡してくれるタケダ。

「思い出したんですけどー、これも読み掛けでしたー」
へえ。

見ると、
『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』
とのタイトル。
自己啓発系と虐待系の共通項は何だろうと考える。

世の中、自分の思い通りにはゆかないから何とかしなくちゃってことかしら。

(了)

投稿者 yoshimori : October 27, 2007 11:59 PM
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