およそ十ヶ月振りに品川を訪れる。
港南口から出て、インターシティ方面に歩いてゆくと、藁と畜が発する独特の臭気が漂い、何処かもの悲しい鳴き声が響く。
あまり知られていないが、駅前屠畜はここで行われる。
駅前留学でさえ縁遠いのに、屠畜なんて対岸にもほどがある。
もちろん中に入ったことは無いが、屠場見学の話を聴くと、たいへん興味深い単語が幾つも出てくる出てくる。
「避けようとした水たまりは真っ赤だった」
「腰に牛刀を挿した解体業者の背筋は割れている」
「コンテナいっぱいの内臓」
何だかいろいろつらいので、「ツンデレいっぱいの内装」と都合よく変換して、無理ぐりファンタジー方向に修正するも、メルヘンとは真逆方向の文字群に心痛は隠せない。
まあ細かい作業は職人に任せてとりあえず、と駅前の韓国料理店に入るのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : November 7, 2007 11:59 PM