November 13, 2007

『投擲と帰省』

艱難辛苦って何だっけ銀杏みたいなやつ?等と的外れなコメントをしつつ、コーラが飲みたいと居酒屋で騒ぐ36歳、ため息と共に未来の嫁についてとつとつと語りだす。

「かーねーがーなーいー」
知ってますよ、そんなこと。今日も親から飲み代借りてきたんでしょ?

「自分のだってば、管理されてるだけ」
いくつになったんでしたっけ?

「君の4つ上だよ」
知ってますよ。素で返さんといてください。

「もうさー」
何でしょう。

を投げるんだよ」
誰が? あー、が?

「そう。『ひとり暮らしは貯金できないから実家に戻れ』って、ずっと言われてたんだけど、まーふらふらとしていっこうに帰らなかったらさ」
いいかげんにしろと靴を投げるんですか?

「外にだよ」
えー?

「玄関出たらすぐに隣んちでさ、50代ぐらいのおっさんが住んでるんだけど、敷地内にバンバン入ってくわけ、靴が」
おっさんもびっくりですな、靴がころころころころと自分ちに入ってきて。

「そしたらおっさん、たまたま帰宅したタイミングで、ちょうど嫁が振りかぶって靴投げてるとこ見られて、ぼそっと、いやあれは笑ってたな、『地獄だな』ってひとこと残して家に入ってった」

たぶんじゃなくて確実に笑ってたな、それは。

(了)

投稿者 yoshimori : November 13, 2007 11:59 PM
コメント

そんなきっと見間違いですよ閣下、嫁は靴のとばしっこで
どっちが遠くまで飛ばせるか競争したかったんですよ
ヽ(´ー`)ノ
(糸色望○生の生徒可付可ちゃんより)

Posted by: hyde先生 : November 15, 2007 12:22 AM

ポジティヴですな、先生は。
そんな先生にひとついやらしい赤入れを。

誤:可付可
正:可符香

あっ、この娘ポジティブな役回りなのか。
この作品、未見ですがひとつ宜しくお願い致します。

Posted by: 義盛 : November 18, 2007 03:06 PM
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