December 27, 2007

『有限たる舌禍』

社食にあるカルビクッパを頼む。

カウンターに置いてあるヤンニョムジャン(薬念醤)の入った器には、
「辛い!」と大書きされ、列の前に並んでいたつわものどもがぞんざいにスプーンを扱うが為、赤い香辛料は滴りまくりで、以前中野駅前で見た「AB型が不足しています」の朱墨書きがたいへんおどろおどろしく、「不足」あたりなんて血のように看板を染めていたのを思い出す。

上澄みだけでは生ぬるいと、底部をさらうこと3杯分。
想像以上に器の中が赤くなる。

真っ赤な器を見た同僚らからは、「はげる」、「ばかになる」、「したがすでにばか」等との心無い中傷を受けたのが不条理極まりないので、同僚らの白いYシャツに向け、器からすくったスプーンで赤い汁を機械的に飛ばし、発言の不用意さを戒める。

ていうか、全然辛くねえ。
はげちゃいないが、したがすでにばかなのかもしれないと、赤いワンポイントの付いたシャツの連中に告げるのだった。

(了)

投稿者 yoshimori : December 27, 2007 11:59 PM
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