菌類学者として知られる、南方熊楠の企画展にゆく。
生涯定職に就かず、ほぼ無収入のまま、多岐に渡る分野の研究に生涯を捧げた彼は、世にいう歴史に名を残す人物によく見られる、癲癇(てんかん)の発作を幾度か起こしていたという。
死後、保存された脳で調査したMRI画像で上記の症状は実証され、また、本人の日記にも「教室で倒れた」、「幻覚を見る」等、症例の記述が確認されている。
オランダ人画家、フィンセント・ファン・ゴッホと熊楠の共通項は、前述のてんかん持ちであることと、無収入なままで実弟からの援助に頼り切ったことだ。
熊楠は弟、常楠と遺産相続問題で絶縁するまでは、長年にわたって援助を受け続け、方やゴッホは弟、テオドールから死の直前まで献身的に尽くされたという差異はあるものの、肉親からの無償援助と終生抱えた病が無ければ、一介の人で終わったかもしれない。
そうね、周囲の理解は大切ね、と思いつつも、やはりあれとあれは紙一重なんて使い古された言葉を思い出す。
(了)
投稿者 yoshimori : January 12, 2008 11:59 PMこの本、読まれましたか? すごく濃い内容です。
http://www.planetcomics.jp/index.php?itemid=851