さほど食欲もなく、社食で何を食べようかと迷い、
たらこ茶漬け
を選ぶ。
付属する一品の小鉢は、がんもどき。
空いた席に座って、割り箸をめりりと割る。
ん?
ふたつ入っているがんもどきのひとつを箸で持ち上げる。
がんもどきに何か違和感がある、と同僚に訴える。
「え? 何それ? 歯型? まだ食べてもないのに?」
満月の一部が欠けたようなシルエットを残すがんもどき。
煮崩れただけだ、と自分に言い聞かせ、見なかったことにして口に放り込むのだった。
(了)
投稿者 yoshimori : February 18, 2008 11:12 PM