『朝日名人会 第77回 (於・有楽町朝日ホール)』
完売やて
三遊亭 歌ぶと(かぶと) ■ 道具屋
番組表に名前が載らないのは、前座だから。
羽織も着てないのは、前座だから。
元力士噺家、三遊亭 歌武蔵(うたむさし)の弟子という。
古今亭 錦之輔 ■ 釣りの酒
五月 真打昇進・古今亭 今輔(いますけ)襲名
五代目の曾孫弟子が六代目を襲名という。
釣り好きの先生に魚と魚釣りの話をし、いい気にさせて酒を飲ましてもらおうと画策する男。
「鱚(キス)なんてやったりしますか」
「やだなあ、そんな。まあ、時々は」
「ほう、鱚をやりますか。いつやりますか」
「いつだなんて、普通は夜でしょう?」
「誰とおやりになりますか」
「え? そ、そりゃあ、もちろん家内とですよ」
「ほう、奥さんと。どこでおやりになりますか」
「奥の四畳間」
「へえー、珍しいところですなあ。餌はどうしてますか」
「先だってはネッカチーフで釣りました」
「変わった餌ですなあ。鯵(アジ)はどうですか」
「あじ? 味ですか? この前は餃子の味がしましたな」
「難しいこと言いますね。では、今度一緒にやりませんか」
「えー!? そ、それはそれで興味ありますけど」
何だその手付きは。
柳家 三三(さんざ) ■ 五目講釈
2007年度文化庁芸術祭 大衆芸能部門 新人賞受賞
生薬屋(きぐすりや)とは、調合した漢方薬を売る店という。
生薬屋の若旦那、趣味が高じて講釈師になりたいと講談を披露するが、種々の演目がダイジェスト版にミクスチャーされ、どうにもならない。
「生薬屋の若旦那? だから講釈も調合されてるのか」
柳家 権太楼 ■ 子別れ(上・中)
「下」は次回口演という。
権太楼師匠は、きったないこども演技が素晴らしい。
仲入り
柳家 小さん ■ 長屋の花見
私事で恐縮だが、人間国宝だった先代小さんですらさほど好みではない。
当代小さん、高尾に住むという。
えーと、素人が噺家の間についてあれこれ言うのはあれのなのだが、当代小さんの演者として間がどうにも受け入れられず、時節柄旬なはずの演目を楽しめない。
残念だー。残念だ、当代。
桂 歌丸 ■ 藁人形
「いちどでいいからみてみたい にょうぼがへそくりかくすとこ、歌丸です」
と演ってくれるわけもなく、ただ淡々と噺は進む。
南千住、三十両を騙し取られた西念、糠屋の娘を藁人形を用いて呪うが、五寸釘を打たずに鍋に油を満たしてぐらぐらと煮ている。
何故と尋ねる甥に対して答える西念。
「糠屋の娘に釘は効かん」
有楽町マリオン11階より下界を見下ろす
新橋まで歩いて飲んだくれます。
(了)
投稿者 yoshimori : March 15, 2008 11:59 PM