!!!CAUTION!!!
<以下の内容はフィクションであり、実在の人名・団体とは一切関係ありません>
不意に袂のふくらみに気付き確かめてみると、うっかり実印が入っているくらいの意外性を小粋な謎解きに転じるくらいの気概も無く、雨と風と傘が吹き荒れる赤坂、19時半。
誰が父親の遺産を継ぐかという親族会議、八人席の四隅に座るのは以下の四人。
長男、次男、三男、妾の子。
残り四名の登場人物を待っている。
順当に相続が叶うなら、当主たる長男の手に渡るはずが、行方の知れない遺言状には長男以外の血縁者が記載されている可能性も否定できず、どうせ自分じゃないと自暴自棄気味に事態を掻き回すだけ掻き回すだけという次男、年老いてから出来た子として孫のように可愛がられた優位な位置付け、転じて殺されやすい三男を含め、元芸者である妾の子ですら相続権を持つという設定。
互いに隣り合わないのは、全員敵だから。
口を開けば罵詈雑言が容赦無く飛び交う為、四人は黙したままグラスを口に運んでいる。
遅れて登場する四人は以下の通り。
家政婦、後妻、弁護士、次男の嫁。
家政婦は先代の持つ秘密を幾つか「見て」おり、後妻は明らかに遺産目当てに妻の座に納まった風貌で、弁護士は何通かヴァージョン違いがあるという遺言状作成に立ち会っており、終了10分前にいきなり登場する次男の嫁は夫すら差し置いて重大な秘密を明かすという設定。
この火サス以下である設定の登場人物、家政婦以外は全員死にキャラだな。
(了)
<泣きどころ>
「母さんがどんな苦労したか、あんたら本家の人間は知らないんだ!」
「黙ってろ、妾の子!」
「お前らなんかに何が分かる!」
「出て行け、妾の子!」
「父さんさえ、父さんさえ、生きていたら・・・」