『平成20年ゴールデンウィーク「特別興行」 権太楼噺たっぷり十夜』
なんてぇ銘打ちまして、柳家 権太楼師匠が十日連続で夜の部主任(トリ)を務めるってぇはなしですな。
紙切り ■ 林家 正楽
正楽師匠が「リクエストがあれば」なんてぇ言いますと、
「ゴールデンウィーク!」
なんてぇ声が掛かりまして、結果、遊園地に並ぶ親子連れが仕上がります。
続いて「藤娘」、「花菖蒲」、「虎」、「鍾馗」なんてぇ五月らしいのができますな。
正楽師匠、「虎」を切り始めたはずなんですがねぇ、何故か「花菖蒲」うっかり切ってしまい、一度は置いた紙を再び持ち直し、「虎(花菖蒲付き)」を完成させてましたな。
落語 ■ 柳家 甚語楼 「不精床」
やる気のかけらも無い床屋の親方、小僧より「前回の客は耳を落とされて気の毒だった」と客にばらされるも続けましてねぇ、「落ちた耳を犬が狙ってる」と脅かしますってぇと、「あんたは鼻かな?」と落としますな。
落語 ■ 春風亭 正朝 「祇園会(祇園祭)」
江戸っ子と京男が地元魂を燃やし、各々国の祭自慢を繰り広げますってぇと、次第にエキサイトしましてねぇ、最終的に京男が
「御所の砂を掴んでみなはれ、瘧が落ちるやさかい」
なんてぇ言うのに対して、
「何をぅ、千代田城の砂掴むってぇとな、首が落ちらぁ」
と返してしまいますとねぇ、江戸っ子負けてる感がありますな。
瘧(おこり)ってぇのは、一定の周期で発熱し、悪寒やふるえななんてぇ症状を持つ疫病のことですな。
千代田城は、言わずと知れた江戸城ですねぇ。
落語 ■ 柳亭 市馬 「芋俵(芋泥)」
木綿問屋へ忍び込む為に芋俵に入る与太郎、問屋内に入り込んだものの、芋を漁る小僧より腹部を押されて思わず放屁。
「わあ、気の早い芋だー」
漫才 ■ 昭和のいる・こいる
すいませんねぇ、師匠、はばかり行ってまして見てませんねぇ。
落語 ■ 柳家 喬太郎 「午後の保健室」
喬太郎師匠を初めて聴いたのがこの演目だったのを思い出しますねぇ。
登場人物は以下の三人ですな。
幼少の頃から長屋の隠居口調の生徒会長、遠藤
「超」を連呼するやんきー口調の校長、山崎
フェロモン全開な若い校医と思いきや実は還暦の先生
映像化は未来永劫不可能な落語でしか成り立たない人物設定ですな。
落語 ■ 柳家 小三治 「長短」
AB型は「狂気」と言いますな。
小三治師匠が例として挙げたのは、
立川 談志、三遊亭 圓楽、永 六輔
の三人。
小三治師匠本人は、B型なんですがねぇ。
仲入りでございます
会場外では権太楼師匠が自らデザインしたTシャツを販売しておりますな。
・・・デザインに難があり、購入は断念しましたねぇ。
ファンへのサービスの為か傍らに控えている師匠、お疲れの様子でぐっだぐだになってましたが。
津軽三味線 ■ 太田家 元九郎
津軽の民謡には、幾つか良い曲がありますな。
ただ、結婚式で演ったら追い出されそうな演目もあり、「嫁いびり」を唄った内容がありましてねぇ、調子に乗って九番までたどり着いてしまうってぇと、
「ここんちの親は鬼、嫁いだ嫁は馬鹿」
なんてぇ言い訳の効かない事態になりますな。
落語 ■ 桃月庵 白酒 「宗論」
宗教を笑うってぇのは日本人ならではの感覚かもしれませんな。
ワイドショー的に幾つかの固有名詞を並べ立てるだけで、「あぶねぇなー」と含み笑いを禁じえませんねぇ。
特定の団体から狙われるのも剣呑だってぇと、口数も少のうなりますな。
太神楽曲芸 ■ 鏡味 仙三郎社中
擂粉木みてぇな棒を口にくわえ、不安定極まりない土瓶を乗せてくるくるを回しますな。
土瓶がまるで鼠の様に動くってぇと、派手なだけが曲芸じゃあござんせんねぇ。
主任 ■ 柳家 権太楼 「火焔太鼓」
「自分で何を喋ってるか分かりません」なんてぇことを仰ってましたが、いつも通りでらっしゃいましたな。
落語には「陰」と「陽」ってぇのがありまして、当演目における「陰」ってぇのが太鼓を買い取る側の武家屋敷の用人、田中三太夫とすると、「陽」は道具屋主人と置き替えられますねぇ。
要は「ボケ」と「ツッコミ」に相違ありませんな。
「陽」がはっちゃけてわあわあ騒いでるのを、「陰」が覚めた態度で冷静に突っ込んでゆくというのをひとりで演じ分けるってぇわけでしてねぇ、権太楼師匠は実にめりはりがありますな。
追い出しがデテケデテケデテケデテケと鳴ります
上野広小路からさして移動もせずに般若湯でも頂きましょうかねぇ。
(了)
投稿者 yoshimori : May 3, 2008 11:59 PM