2日前だったろうか、「総面積400㎡のダイニングラウンジ」と聞き及んでいた為、何も口にせずに訪れたものの、厨房は見えるがフードメニューは無く、5秒も歩くと壁に行き当たり、もう5秒も歩くと同じ場所に戻って来ざるを得ない。
ハングリーにも程があるストマックに頭の悪いハードリカーを流し込んでいると、遠くで聴こえるダーツクダーツクなんて4つ打ちが新しい刑罰かと思い始め、祖国を遠く離れて異国の民に虐げられる移民の心情が分かり過ぎるくらいに分かる気になってくる。
空腹に耐えかねた有志らを募り、外へ。
訪れた店は外見上、木造りと赤錆びた鉄だが、テンガロンをかぶったアウトローが徘徊するわけもなく、ただ肉が焼ける白煙と音に誘われ、吸い込まれるように扉を押し開ける。
入れ替わりにスリランカ人の団体が出てゆく。
いうてもインド人かもしれないし、バングラデシュ人かもしれない。
ハートランド・ドラフトが運ばれてくる。
人数にそぐわないフードのオーダーが始まり、矢継ぎ早に品の名を言われ続けるスタッフが不憫に思え、放っといてやろうとぼんやりとしている。
全員が目を血走らせながら、親の仇の如くバッファローウィングを60ピースもやっつけたのは、後にも先にもこの時だけだ。
(了)
投稿者 yoshimori : May 16, 2008 11:59 PM