かつての宿場町、千住に来ている。
すれ違う
都内にある名の知れた割烹料理店で板前を勤めた店主が、「割烹くずし」と銘打ち、庶民的な割烹を目指して始めた店という。
十五人も入れば、身動きも取れないくらいに手狭な店内、家族経営なのかよく似た顔の従業員らが動き回っている。
全て日替わりにて日々書き換えられる黒板
本菊泉を常温で頂く。
■わらさ刺し ・・・ 鰤になる直前の名。脂がのってたいへんやわらか。
■しらす山椒煮 ・・・ しらすを煮詰め山椒をまぶしてある。酒が進む
■みょうがと黒そい酢のもの ・・・ 透明感のある白身に茗荷と三倍酢がよく合う。
■鯨さえずり ・・・ 牛すじ煮込みにも似た食感と味。和芥子で頂く。
■はぐら瓜ぬか漬 ・・・ 千葉の地方野菜という。えぐ味無く、箸休めに適。
■はた刺し ・・・ アジア圏では高級魚という。この手の白身は、下地よりもぽん酢で頂きたい。
■さば塩焼き ・・・ 塩加減が素晴らしく白米を要求しかけてしまう。
立ち飲みとはいえ、近所に欲しい一軒。
足立区までは遠いが、足を伸ばす甲斐もある。
二軒目、「千住で2番」という看板を掲げつつ、その実都内三大煮込みのひとつに数えられるという旧日光街道の老舗。
やはり家族経営なのかよく似た顔の従業員らが競歩に近い速度で動き回っている。
近年改装されたという店内、長い鉤状(J字)カウンターとテーブル席幾つか。
ほぼ満席で、入れ替わりに空いたテーブル席に案内される。
後続のリーマンらは次々と断られている様子。
創業以来、一度も中身を空けずに注ぎ足しに足しまくった大鍋にてぐつぐつぐつぐつと牛煮込みが煮込まれているという。
肉とうふを頼む。
会計時の算盤パフォーマンスで知られる爺がいるという。
酩酊状態で彼を探し、離れた席から匠の技を拝見させてもらうと、知っている風景とは完全に隔離されたのかここが何処なんだか分からなくなる。
三軒目、ハンバーガー専門店ではないが、店主自らバーガーをレコメンドするカフェ&バー。
さんざ喰い荒らしてるんで、フード類は控えておく。
自家製という珈琲ウォッカがやたら飲み易く、だんだんますますと危険が危なくなってくる。
日付も変わったところで、四軒目に向かいます。
(了)
投稿者 yoshimori : May 23, 2008 11:59 PM