June 26, 2008

『ス リ ジャ ヤ ワ ル ダ ナ プ ラ コッ テ』

午後から内科の診察を受けるという同僚、腹部を手で押さえながら、倒れるように前のめりで歩いてゆく。
が、社食にて彼のトレイに乗せられていたのは、盛りに盛られたセイロン風ドライカレー
脂汗が出るほど胃が痛いって言ってたじゃん。

「だって、何か食べとかないと」
だからって、そんな刺激物

「いくら無神経な僕でも全部は食べられませんよ」
そりゃそうだ。って自分で言うな

「やっぱもったいないなあ。完食しないで夕方までもつかなあ
もっとやわいのにすればいいものを、うどんとか。

「そうなんですけどね、カレーって食欲なくても食べられるじゃないですか、好きなんですよね
分かったから、食べたら病院に行きなよ。

で、前述の内科へと向かう同僚。
彼を見送る、別部署の男。

「どうしたの、彼」
何か、胃が痛いらしいですよ。

ヘリコバスターだ」
何ですと?

「いわゆるひとつのピロリ菌
・・・ここの職場は胃腸が痛いって言うとすぐその名で呼ばれますね

「僕のは本物だって。十二指腸、あれ? 二十四指腸?
いやいやいや、増えてますよ。最初のでいいです。

「その何だ、十二指腸潰瘍になってさ、三万円払ってヘリコバスター・ピロリを駆除した

へぇーそうなんですか大変でしたねー、なんて返して後でネットで検索したら、正確にはバスターではなく「ヘリコバクター・ピロリ」で、治療費も三万円は払い過ぎと判明。

何か伝えようとしているのは分かるのだが、結果として何ひとつ伝わってないこともあるのだ

(了)

投稿者 yoshimori : June 26, 2008 10:15 PM
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