「後で行くから」なんて乙女ちっくな嘘で自室に篭もって睡眠を勝ち得た翌日、意外と本気で過酷な激流下りでへろへろになったところで突き出される缶ビールを数本飲み干した頃にたどり着く一軒の旧家。
かつては養蚕業で栄えたという
築三百五十年と説明を受け、ナーバスになってみたり。
ここで素人衆が手ずから蕎麦を打つという。
「指が千切れるまで混ぜろ!」
「指がへし折れるまで捏ねろ!」
「『蕎麦打ち体験』なんてぬるい気持ちで参加してる奴は前に出ろ!」
これが犯行に使用された蕎麦切り包丁です
現場監督を装って、まぜたりこねたりうすくのばしたりほそくきったりという手が汚れる作業を一切放棄し、旧家を散策。
横になりたい
畳は気持ちよいね
寝かせてくれ
掻き揚げ、南瓜天
じゃが芋、蒟蒻
二八蕎麦
酒だけ持って来といて猪口が来てねぇってのはどういうことなんだ、と老婆に向かって本気で詰め寄ったことをここでお詫び致します。
おさけってこわいね。
(了)
投稿者 yoshimori : July 6, 2008 11:59 PM