良い意味で舞台俳優に見えなくもない、自分よりも少し年上の同僚、個性派なんて但し書きが付くと、途端に生涯主役を張れない立ち位置に転落もしかねない。
「最近は真っ直ぐに帰ってるよ」
へー、誘惑に強くなったねぇ。
「家に待ってるからさ」
嫁と別れたばっかりのくせに、もうそんなのがいる!
「別れた別れた言うなって、これでも意外とハートブレイクなんだから」
そんなうわっついた軽ーい横文字に同情は無い。
「犬を」
何をー?
「ミニチュアダックスなんだ」
またそんなかわいらしいのを。
「ごはんをあげにさっさと帰るってのよ」
ははん。
「鼻で笑ってやがる」
それは嫁と別れる前から居たの? それとも後?
「あ、後だよ」
へー。で、名前は?
「・・・愛」
えー?
世の中に替わりなんて無いんですよー。
どんだけ飢えてるってんだ。
(了)
投稿者 yoshimori : July 23, 2008 11:59 PM