前日の痛飲を無理ぐり早起きに変換するってぇと、足取りも不確かなまま銀座線に乗っかりまして、目指すは上野広小路。
上野鈴本演芸場、昼の部で御座います。
時間前にたどり着いてるってぇのに既に満席に近く、何とか壁際の席を確保しましてねぇ、周りを見回すってぇと、あたし以外の客のほとんどが弁当使ってるんですな。
さらくち■柳亭 市朗 「芋俵」
前座の仕事は高座に上がってる間に人を着席させることなんでしょうな。
落語■柳家さん弥 「熊の皮」
「熊の皮って何でできてるんですか?」
「何って・・・。これ以上は説明のしようがないな」
ギター漫談■ぺぺ桜井
『禁じられた遊び』を爪弾きながらの『浪花節だよ人生は』
「飲めと言われて~素直に飲んだ~♪」
果ては、ハーモニカ吹きながら唄うんですな。
落語■柳亭左龍 「お菊の皿」
「お菊煎餅なんて十枚入りって表記があるのに、実際には九枚入り」
落語■柳家はん治 「ぼやき酒屋」
「昔はいい歌がたくさんありました。最近は、何ですか、ポーニョポニョポニョって」
居酒屋の大将にぼやく客、「実は俺も居酒屋なんだ」とサゲますな。
漫才■あした ひろし・順子
「今年でこの人も後期高齢者になりましたー」
ひろし師匠の「渡る雁がね~♪」なんてぇ唄いに感じた客席からの「上手いっ」との掛け声に「ひぇぇぇぇ」と二メートルも退く師匠、素なのか仕込みなのか順子師匠の後ろに隠れますな。
「この人、気が小さいんですよー」
落語■三遊亭 金馬 「(演目不明)」
熊川なる老人と寅山なる老人における身体悪い自慢なんですな。
最終的にはどちらも死んだことにして、「うちは一周忌だとそう言え」とサゲますな。
落語■柳家 小袁治 「金明竹~山形弁」
「上野界隈を歩いてると、談志兄さんとよく会うんですよ。待ち伏せてじゃないのかってくらい。『お、俺な、六時半まで空いてる』って聴いてないのに飲みに連れてかれて。こっちが気を遣って『兄さん、今日はご馳走させてください』っていうと、普通は『いいよいいよ、俺が払うよ』って言うんですけどね、談志兄さん、当然みたいな顔して『あ、そう、悪いねー』って」
小袁治師匠のおかみさんが山形出身ってぇ云いますな。
及位(のぞき)なんてぇ、珍なる名の地域の方らしく、かつて修学旅行で日比谷公園まで訪れた時の園内アナウンスが、
「及位(のぞき)中の皆さん、及位中の皆さん」
なんてぇ呼び出しで大変恥ずかしかったってぇはなしでしたな。
「それで、品は買ったのかい?」
「けろーけろーって云ってましたからねぇ、蛙(かわず=買わず)」
太神楽■翁家 和楽
和楽師匠には大変申し訳無いんですがねぇ、ここで中座しまして次は仲入り前で御座います。
落語■柳家 権太楼 「子褒め」
ゴルフを共通の趣味とする夫婦、妻がパー5のホールでグリーンに2オンってんで、人生初のイーグルを前にして「これ入ったら死んでもいい」との発言に、旦那がうっかり「OK」なんてぇ返したばっかりに、それ以来夫婦は口を利かなくなったってぇマクラでしたな。
「初七日かい?」
「お七夜ってんだよ!」
ここでお仲入りで御座います。
漫才■昭和のいる・こいる
岡 晴夫の歌なんぞ唄ってらっしゃいましたな。
落語■三遊亭 歌武蔵 「(相撲漫談)」
「北ノ湖すごいですよ、中卒で理事長ですよ。小学校の時オール1だったらしいんですよ。相撲取りが体育も1っておかしいんですがね、でんぐり返しができなくて1だったらしいですね」
「花火のシーズンですから、若者も浴衣着ますね。駅で後ろから見てると、うわー高いの着てんなー、帯もいいの巻いてんなー、って下みたらビーサンなの。それは止めろって。ですからね、皆さん、彼らに注意喚起促すか、ビーサンの踵を踏んでやってください、それが彼らの為だから」
落語■橘家 文左衛門 「千早振る」
質問する側、百人一首すら云えなくて、
「えーと、あれ何だっけ、百姓一揆?」
「打ち首獄門になっちゃうよ、それじゃ」
「えーと、えーと、百人組手?」
「それじゃ、極真だよ」
と続きまして、サゲの「とは」の謎に触れるってぇと、
「喬太郎に任す」
なんてぇ楽屋に帰っちゃうんですな。
曲独楽■三増 紋之助
夏だからと、向日葵の付いた風車が涼しげに回転しますな。
夜主任■柳家 喬太郎 「すみだ警察一日署長」
文左衛門師匠の謎を提起された喬太郎師匠、隅田川に浮かぶ屋形船を文左衛門にシージャックさせ、「千早振る」を絵解きするんですな。
「血はヤプール、神谷も効かず立つ田川、花緑レナウン水潜るとは」
「とは」の謎は解けないままのサゲとなりましてねぇ、これで打ち合わせ無く即興でしたら大層驚きますな。
追い出しが鳴り、外へと出ましてねぇ、デテケデテケと出てゆきますな。
さて次はってんで、『第七回 落語特撰会』の前売券を握り締め、大江戸線で清澄白河に移動しますな。
深川江戸資料館小劇場に到着しますってぇと、
『第百回 さん喬を聴く会』?
手にした『第七回 落語特撰会』の前売チケットを眺めるってぇと、日付は明日なんですな、これが。
ついでだからと当日の整理券を受け取るってぇと、十四番。
「立ち見かもしれません」なんてぇ告げられ、がっくりとしますがねぇ、意外とすんなり入場の上、前列に着席と相成ります。
柳家 さん喬■道觀
五代目小さん師匠より稽古付けて頂いた唯一の噺なんてぇ云いますな。
柳家 さん喬■権助芝居
柳家 小せん師匠から習ったなんてぇ聞こえましたが、記憶は曖昧なんですな。
柳家 さん喬■替わり目
先代雷門 助六師匠から習ったなんてぇ聞こえましたが、記憶は曖昧なんですな。
柳家 さん喬■締め込み
林家 彦六師匠から習ったなんてぇ聞こえましたが、記憶は曖昧なんですな。
柳家 さん喬■おしゃべり往生
メモには「鯛の煮凝り」、「弔いは静かに」となるんですがねぇ、やはり記憶は曖昧なんですな。
柳家 さん喬■幾代餅
ここまで二時間、さん喬師匠、時間を忘れての高座ですな。
中入
柳家 さん喬■鼠
「絵本落語版」ってぇはなしなんですがねぇ、尺が短いからでしょうかねぇ。
柳家 さん喬■長短
いわゆる袖に入る際における三服目の火種の外しが見事でしたな。
柳家 さん喬■妾馬
まさかの九席で御座いました。
二軒を梯子しての七時間、座り疲れを払おうってんで、般若湯なんてぇ目指して移動しますな。
(了)
投稿者 yoshimori : July 26, 2008 11:59 PM