先の宿替えから数えるってぇともう二年にもなりますな。
かかずり合いの因業な家主(いえぬし)より更新なんてぇ親不孝な報せが届きましてねぇ、新たに宿替えするなんてぇ別天地の当ても無いってんで、仰せのままに致しますな。
隠居するにはまだまだ年月を要するンですがねぇ、時節柄、湯帷子(ゆかたびら)に夏帯なんてぇ締め、懐手してみるってぇと、日々の暮らしなんてぇ厄介な現実感は失われ、逃避的に背中は丸くなるんですな。
扇子と名入りの手拭いなんてぇのを袂に押し込んで、鼻緒に軽く爪先引っ掛けて桐下駄を履くってぇと、世間はまた違う色に見えてきますな。
此の地に二度目の夏が訪れるので御座います。
(了)
投稿者 yoshimori : August 6, 2008 11:59 PM