日中、冷てェ蕎麦でも手繰ろうってんで暖簾をくぐるってぇと、よく日に焼けた娘っ子が出迎えてぇくれるんですな。
「イラシャイマセェ」
日本蕎麦と銘打つからにはも少し何とかしァがれッ、なんてぇ野暮天では御座ンせんが、築地に鮨喰ィ行ったら板前がターバン巻いた印度人だったぐらいの違和感がありますな。
「冷や」なんてぇ微妙な表現が通じるわけも無いってんで、生麦酒を頼みましてねぇ、柚子切り蕎麦を一枚手繰るんですな。
ねえさん、あと、蕎麦味噌ひっとつ頼まァ。
「トソバミ?」
いやいやねえさん、間の蕎麦しか合ってねぇし。これよ、これ。
「カシ。コマリマシター」
いや、そこで切ると意味が違ってくるってんだィ。
グーローバーリーゼーショーン。
(了)
投稿者 yoshimori : August 14, 2008 11:59 PM