暮れと年明けになりますってぇと、乗り物で交通機関が混雑するなんてぇのは、ご案内の通りで御座いますが、乗り物なんてぇひとことで申しましても、足で地を踏みしめる延長として車輪の付いた俥から、空高く舞い上がる飛行機なんてぇ物騒な手段も御座います。
或る博識な方に訊きますってぇと、
「あンな鉄のカタマリが空なんてぇ飛ぶはずがねェ」
なんてぇ仰いますな。
関係者の談に依りますと、乗客乗員の「飛ぶんだ、浮くんだ」なんてぇ気持ちがひとつになった時に初めて「浮く」という大変厄介なメカニズムらしいンですねぇ。
そンなメンタリティに頼るしかない、不安定な乗り物なんで御座います。
あたしの故里(さと)はってぇと空飛んで一時間余りなんてんで、今回も往路復路で利用させて頂きましたな、もちろん「浮く」と信じきって。
機中で伺いました、『全日空寄席 東西寄席スペシャル!』で御座います。
2008年10月17日、神保町・一ツ橋ホールでの公開録音と云いますな。
ご案内役は、
講談師:神田 紅(くれない)、
女道楽:内海 英華(えいか)
で御座います。
【第一部(往路):20081230】
※機内搭乗時間と放送時間は当然リンクしませン。
トリ■三遊亭 小遊三 「金は天下の回り物」
さほど好んで聞いてるわけじゃないンですがねぇ、声だけで小遊三師匠と分かりました。
此の噺は上方における「持参金」と同工異曲ですな。
サゲと演目名が同じで御座います。
開口一番■三遊亭 遊雀 「堪忍袋」
「梅干と沢庵」が大工道具を振り回しての夫婦喧嘩の原因なんてぇ、リアルですなァ。
堪忍袋が割れる前にサゲてましたな。
真打■笑福亭 福笑 「もうひとつの日本」
まくら、横文字の職業名の羅列で時代の流れを嘆きます。
「植木屋がグリーンコーディネーター」なんてぇ、何処まで本気なんでしょうか。
本編では、ハリー・S.トンプソンなる外国人が日本の企業を訪れるンですがねぇ、サゲ前で機体は里へ到着し、放送終了でしたな。
【第二部(復路):20090105】
開口一番■柳家 三之助 「堪忍袋」
小三治師匠の弟子なんてぇ云います。
団子屋台の蜜壷に父親が舐め尽くした白団子をちゃぽんと付けてサゲますな。
真打■柳家 喬太郎 「擬宝珠(ぎぼし)」
三遊亭 圓遊の作なんてぇ云います。
若旦那が心の病で臥せってるなんてぇ噺は、「崇徳院」「千両蜜柑」と思い付くンですがねぇ、此の噺における若旦那の恋焦がれる相手ってぇのが、
「擬宝珠(欄干の柱頭などにつける宝珠の飾り。形は葱の花に似る)」、
しかも金龍山浅草寺、五重塔の上に輝く宝珠を舐めてェってンですから、金属フェチもここまで来ると、何やら有難ェってんで思わず手を合わせたくなりますなァ。
挙句、若旦那の父親(大旦那)も妻との出会いは、擬宝珠舐めが縁ってんですから、込み上げる熱いもンが止まらないンですねぇ。
「(擬宝珠の塩加減は)三升か、それとも五升か」
「いいえ、六升(緑青)の味がしました」
トリ■桂きん枝 「狸賽」
きん枝師匠、「上方落語を聴く会」会長だそうですがねぇ、噺家でありながら「聴く」専門なんてぇ不思議な立ち位置なんですなァ。
まくら、芸人の心構えについて。
「ええか、芸人やったらな、呑む打つ買うやってなんぼや! 酒は浴びるほど飲め! 博打は死ぬまで打て! 女子(おなご)買うて、女房泣かしてなんぼや!」
って云われたのが、坂田 利夫師匠からだったンですが、・・・何処で道を見誤ったンでしょうかねぇ・・・。
当機は予定通り、羽田空港に着陸致します。
東京の天気は、晴れ。
気温は十度で御座います。
(了)
投稿者 yoshimori : January 5, 2009 07:46 PM義之介師匠、
私はJALの機内で、柳家右太楼の「元犬」を聞きながら
途中で睡魔に襲われ意識がなくなりました。
JAL名人会の公開録画らしい。
今年もよろしく~。
もな楽
ねえさん、今年も何卒宜しくと願っておきます。
JAL名人会は平日の公演だったみてぇで、泣く泣く諦めた記憶がありますなァ。
もな楽ねえさんは「三遊亭」っぽいですが、あたしの亭号は何でしょうかねぇ。
やっぱり、
師匠は義之介あらため義ん生で。
読み方は「ぎんしょう」。
もちろん、古今亭。
イケテルでしょ?義ん生師匠。
もな楽
ねえさん、「古今亭 義ん生」なんざ、畏れ多いですなァ。
あたしゃまだまだ前座名の「義之介」で精進してェと思います。
もな楽ねえさんには、今後ともご贔屓にと願っておきます。
じゃ、柳家で。義之介師匠。
師匠のゴッドマザー、も奈落、もとい、もな楽より。
ってもういい加減にします…。