August 13, 2009

『ささきさひょうえのじょうもりつな』

からだのふるえでめをさまします。
あせだくのあまり、さめたゆぶねにつかっているようです。

まどからみえるそらは「はいいろ」です。
どんてんもようといったところでしょうか。
わざわいのげんきょうのしょうちょうです。
「てんぺんちい」がおきるまえぶれかもしれません。

おもいからだをひきずりながら、はいだすようにねどこからぬけでます。
いきづかいがじんじょうではありません。
ねあせとはべつのあせがふきでるようです。

おもてでは「からす」が「ぎゃー」とないています。
くろいすがたが「はいいろ」のそらにまいます。
「はおと」はまがまがしく、とびさるすがたは「あくまのけしん」のようです。

でかけるしたくをはじめます。
わすれものをぜんていとしたにづくりです。
「ろくもんせん」だけをにぎりしめ、じたくをあとにします。

がいこつのしゃしょうののる、「ぜつぼうというなのでんしゃ」にのり、ほねとかわでつくられたざせきにこしをおろし、ゆきさきをつげるしゃないほうそうもないまま、もくてきちをめざします。

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「ここはじごくのいっちょうめといって、にちょうめのないところだ」

なにかにつかれたようなあしどりでうみべをめざします。
あしがもつれ、なんだろうとてさぐりでたしかめると、かみのけのかたまりです。

えくすて?

もし「えくすて」だったら、こんなにとりはだがたつこともなかったでしょう。

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「しゃくねつじごくにようこそ」

ひごろのそこうふりょうがたたり、じごくのごうかでやかれるおもいです。
すこしのみずとしょくりょうで、いきじごくをあじわいます。

「たすけて」

はまべにいると、ちいさなおんなのこがぜんしんをずぶぬれにしてしがみついてきます。
ぼくにはどうすることもできないとつげ、むじょうにもふりはらます。
おんなのこはやがて「ひとではないなにか」にすがたをかえ、うみへとかえってゆきました。
ふりはらわなければ、うみにひきずりこまれていたことでしょう。

うみべのすぴーかーよりほうそうがきこえます。
「まいごのおこさんをほごしています。ほんにんは『ゆきのちゃん』となのっています。それいがいのことはなにもわかりません。おやごさんたちにおねがいです。じぶんのつれてきたこどものかずをもういちどかんじょうしてください。たりないかたは、ほんぶまでおねがいします」

きっとあのこが「ゆきのちゃん」だったのでしょう。
ほんぶはおそらく「うみのそこ」です。

なにかにすがりたいきもちがたかまり、「えのしま」をめざします。

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へつみや(さいしん:たぎつひめのみこと)@えのしまじんじゃ

べんてんさまにかたりかけていると、こころがあらわれてくるおもいです。
でも、「おかね」と「はだか」のことしかかんがえていないことにもきづきます。
それよりもなによりも、べんてんさまは「らたい」でした。

じんじゃのそばには「ねこ」がいます。
ねこのよこには「せみ」がいます。
ねこは「め」で、せみは「はね」でかたりかけてきます。

ねこ 「ここはおまえのくるところじゃないよ」
せみ 「おれはもうだめだ、さきにゆけ」

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ねことせみ@えのしま

ねことせみのじょげんにしたがい、「とうきょう」へとかえります。
たのしい、そして、おくぶかいたびでした。

(おわり)

(佐々木左兵衛尉盛綱)

投稿者 yoshimori : August 13, 2009 11:59 PM
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